きょっこう曲江
朝回日日典春衣
毎日江頭尽酔帰
酒債尋常行処有
人生七十古来稀
穿花蛺蝶深深見
点水蜻蜓款款飛
伝語風光共流転
暫時相賞莫相違
毎日江頭尽酔帰
酒債尋常行処有
人生七十古来稀
穿花蛺蝶深深見
点水蜻蜓款款飛
伝語風光共流転
暫時相賞莫相違
詩
※日本で一般に読まれている本文によります。
書き下し文
朝より回りて日日 春衣を典し
毎日 江頭に酔ひを尽くして帰る
酒債は尋常 行く処に有り
人生七十 古来稀なり
花を穿つ蛺蝶は深深として見え
水に点ずる蜻蜓は款款として飛ぶ
語を伝ふ 風光 共に流転して
暫時 相賞して相違ふこと莫かれと
現代語訳
朝廷から戻ると毎日のように春着を質に入れ、江のほとりで酔いつぶれて帰る。酒の借金は行く先々にあるのが当たり前。人生七十まで生きる者など、昔から稀だ。花を縫う蝶は奥深くに見え、水面を点てる蜻蛉はゆるゆる飛ぶ。風光よ、ともに移ろわせてくれ——しばし賞で合って、すれ違わないでほしい。
原文と書き下し文の対照
朝回日日典春衣 ― 朝より回りて日日 春衣を典し
毎日江頭尽酔帰 ― 毎日 江頭に酔ひを尽くして帰る
酒債尋常行処有 ― 酒債は尋常 行く処に有り
人生七十古来稀 ― 人生七十 古来稀なり
穿花蛺蝶深深見 ― 花を穿つ蛺蝶は深深として見え
点水蜻蜓款款飛 ― 水に点ずる蜻蜓は款款として飛ぶ
伝語風光共流転 ― 語を伝ふ 風光 共に流転して
暫時相賞莫相違 ― 暫時 相賞して相違ふこと莫かれと
鑑賞
「人生七十古来稀なり」は七十歳を「古稀」と呼ぶ語源。投げやりな酔いの裏に、思うにまかせない宮仕えの憂さと、はかない春を惜しむ心がにじみます。
日本で親しまれる理由
「人生七十古来稀」
語句
- 典
- 質に入れる
- 酒債
- 酒代のつけ
- 款款
- ゆったりと
- 流転
- 移り変わる
作者
杜甫の生涯と作品一覧は作者ページへ。
作られた背景
二首連作の第二首。乾元元年(758年)春、左拾遺として長安にいたころの作。